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宇宙農業に向けて月の模擬砂を活用したコマツナ栽培に成功–大林組とTOWING
2022.02.08 13:15
大林組とTOWING(名古屋市南区)は、月の砂に似せて作った模擬砂と有機肥料を組み合わせた土壌で植物を栽培し、食用となるコマツナの栽培に成功した。月面での食料確保やQOL向上につながるとしている。
月面での有人活動に欠かせない食料だが、長期間に及ぶ活動では膨大な食料の確保が問題になる。必要な食べ物や食料生産に使う資材を地球から月へ輸送するコストは膨大で、実現困難だ。そのため、月で得られる資源を活用して、月面で植物を作らなければならない。
大林組とTOWINGは、月の砂と人間の排泄物、食料のかすを植物栽培に利用する方法を検討。最終的に、月の砂を植物栽培に使える土壌へ加工する技術を開発した。
この技術は、まず月の模擬砂にマイクロ波を照射して加熱焼成し、微細な空隙のある多孔体を作る。その際には、均一に加熱する新たな技術を用いることで、模擬砂から多くの多孔体を得ることができた。そして、これに排泄物などの有機性廃棄物を吸着させることで、植物栽培に適した土壌へ変え、コマツナ栽培を成功させた。
これにより、月面で植物栽培する場合でも、土や肥料を地球から運ぶ必要がなくなる。さらに、地球の土壌で育てる条件に近いため、根菜類や大きな作物などの栽培も可能だという。
なお、月面での植物栽培や宇宙空間での廃棄物再利用などついては、さまざまな研究が進められている。