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JAXA、研究不正の古川飛行士に戒告処分–宇宙へは予定通り出発へ

2023.01.12 16:20

小口貴宏(編集部)

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 宇宙航空研究開発機構(JAXA)は1月12日、閉鎖隔離環境の研究で発覚した不正について記者会見した。同研究で責任者を務めた宇宙飛行士の古川聡氏自らが登壇した。

 同研究は2016年から2017年にかけて実施された。宇宙における閉鎖隔離環境が人体にどのような影響を与えるかをテストする内容だったが、研究者が存在しないデータを捏造したり、書き換えるなどの不正が多数発覚した。

 この不正について古川氏は「自分が指示したものではない」としつつ、マネジメントの立場でありながら防げなかったことを謝罪した。防げなかった要因としては「仲間を信頼しつつも念のために確認する」という研究のポリシーを引用しつつ「専門性の高い精神心理の分野では、専門家の皆様に分担をお願いしていたが、その際に信頼の気持ちが勝ってしまい確認が不足した」と述べた。

 今回の不正を受け、JAXAは古川飛行士に戒告処分を下した。JAXA内では懲戒解雇、停職、減給に次いで、4番目に重い処分となる。研究にかかった1億9000万円の国への返還については、現在関係省庁と議論しているという。

 なお、古川飛行士は2023年度内に予定通りISSに滞在するという。ISSでは実験棟「きぼう」などで、地上の研究者を代表した実験などが予定されている。今回の不正を受け、宇宙飛行士としての適性を問う声に古川氏は「自分の倫理意識や規範意識をしっかり向上させるとともに、業務もなるべく同僚たちのダブルチェックを入れ、確実に実施することで任務を遂行したいと考えている」と回答した。

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