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「Artemis I」の主役–無人宇宙船「Orion」について知っておくべきこと

2022.11.23 09:00

佐藤信彦

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離れていく地球、近づく月(出典:NASA)
離れていく地球、近づく月(出典:NASA)
多数のカメラで自撮り(出典:NASA)

 月には11月21日に近づいた。この際、月の重力を利用して加速するフライバイを実施し、月から約6万4000km先まで飛行する、地球から45万km離れた月周回軌道に入る。

月に接近するOrionのイメージ(出典:NASA)
月に接近するOrionのイメージ(出典:NASA)

 その後、今度は月周回軌道から離脱して月に近づき、再度フライバイを実施して地球へ帰還するための軌道へ入る。そして、軌道修正しながら進み、地球に近づくとサービスモジュールを切り離し、大気圏再突入に備える。

 大気圏に突入する際の速度はおよそ時速4万kmあり、大気による抵抗を使って約時速480kmまで落とす。この間、機体は約2800℃という高温にさらされる。

 高温領域を無事に抜けたら保護シールドを分離し、高度7600mで第1段階の減速用パラシュートを開く。1分ほどで速度が時速160kmへ落ちたらパラシュートを切り離し、第2段階のパラシュートを開いて時速32km以下まで減速。最終的に、米カリフォルニア州サンディエゴ近くの太平洋に着水し、米海軍によって回収される。着水は12月11日を予定している。

パラシュートで降下、太平洋に着水する予定(出典:NASA)
パラシュートで降下、太平洋に着水する予定(出典:NASA)

 Artemis Iで、Orionは25日11時間36分にわたって飛行する。総飛行距離は約230万km。

Orionの飛行経路(出典:NASA)
Orionの飛行経路(出典:NASA)

 Orionの現在位置や地球と月との位置関係などは、NASAのウェブサイト「Artemis Real-time Orbit Website(AROW)」で調べられる。Orionから送られてきたデータがほぼリアルタイムで反映され、飛行経路、地球と月からの距離、速度などが確認可能

 Artemis計画とOrionの最新情報は、NASAが公式Twitterアカウント「NASA Artemis」「Orion Spacecraft」で発信している。

Orionのデータがリアルタイムに反映される「AROW」(出典:NASA)
Orionのデータがリアルタイムに反映される「AROW」(出典:NASA)

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