インタビュー
スペースデブリ除去から宇宙の持続可能性を見据えるアストロスケールの近未来
宇宙ビジネスに対する需要は各国で異なります。たとえば、日本はJAXAが大型デブリ除去に取り組み、(2019年6月開催の)G20でも安倍晋三元首相がデブリ対策を呼びかけました。英国オフィスでは、ELSA-dの次にあたり、一度のミッションで複数の衛星を捕獲・除去する「ELSA-M」を推進しています。LEXは米国の需要が高いです。根本的な技術は同じですが、各拠点で必要に応じた人材を配置しています。
コミュニケーションはオンライン会議やメールを使っていますが、(時差の関係から)日本が一番大変です。相手に合わせようとすると早朝や深夜になってしまうからです。
フレックスタイム制を導入して、早朝から会議があれば早期退社も可能です。個人の裁量や部門の判断に任せています。
――今後の展望を聞かせてください。
2030年までに一連の軌道上サービスを当然のものにするというのが社内目標です。そのための技術開発や宇宙での実証に取り組みます。また、2022年度中はJAXAの「ADRAS-J(大型デブリ除去実証プロジェクト)」打ち上げを予定しています。数年以内には英国とイスラエルによる商用サービス化に向けた実証も行う予定です。現時点で明らかにできませんが、他にも多くの計画があります。
方向性を示すのはトップですが、実現可能か否かを判断していくは(現場の)自分たちです。技術として実現できるかはエンジニアの意見が多く含まれています。
弊社の人材は宇宙業界だけではなく、パン業界や自動車業界などからの転職組もいます。もともと宇宙業界の人材不足という実状もありますが、たとえば電気や機械構造は衛星にも通用しますし、姿勢制御などもロボット分野で培われ、心強い戦力になっています。多様な開発手法を積極的に取り込んでいきたいです。