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SierraやAxiom、Nanoracksが語る「商業宇宙ステーション」の可能性と未来

2022.07.29 08:00

阿久津良和

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 Sierra SpaceのGupta氏は「商業宇宙ステーションを考える前に市場があるのか、どのように発展するかを考えなければならない」と指摘。続けて、Gupta氏は以下のように解説した。

 「われわれのアプローチはあまり規定的にならず、宇宙環境から多くのメリットを享受すること。例えば、20年前のインターネットは利用法も活用方法も分からなかった、多くの方がアイデアを開放し、信じられないようなビジネスが誕生した。Lewis氏がオンラインで(セッションに)参加しているのも好例だ。世界の活動も人々のやり取りも変化している。このプラットフォーム(=商業宇宙ステーション)も同様だ。柔軟なモジュラーシステムを開発し、発明的かつ新しい形で活用するための容易化をわれわれが担当する」

Sierra Space スペースディスティネーション部門シニアバイスプレジデント/ゼネラルマネージャー Neeraj Gupta氏
Sierra Space スペースディスティネーション部門シニアバイスプレジデント/ゼネラルマネージャー Neeraj Gupta氏

 加えて、Gupta氏は「もう一つは技術内容を判断し、早期にプラットフォームで提供すること」が重要とした。「(同社の有翼商業宇宙機である)『Dream Chaser』も来年(2023年)に始まるが、性能と弊社の実証実験で大きな成長機会をプラットフォームに乗せることが重要だ」(Gupta氏)

 また、宇宙空間におけるプラットフォームの構築が重要と提言した。「市場に対しては、長期的な需要喚起が鍵を握る。例えば、工具箱の道具も微小重力(環境下)で使わないと、新しい利用方法も将来性も分からない。だからこそユーザーに対して素早く『何ができるか』を見せる」(Gupta氏)

 三井物産の山本氏は「小さな成功、また素早く勝つことが市場に対する刺激として重要だ。具体的なビジネスを開始するため、5年後、7年後の売り上げを見せても、最初のプロジェクトに2桁台の投資は難しい」と現在の厳しさを取り上げた。

三井物産 モビリティ第二本部 輸送機械第四部 宇宙事業開発室 プロジェクトマネジャー 山本雄大氏
三井物産 モビリティ第二本部 輸送機械第四部 宇宙事業開発室 プロジェクトマネジャー 山本雄大氏

 山本氏は続けて、「そのため顧客に対しては、エンターテインメント、コミュニケーション、クラウドなどメリットの話が必要だ。小さくても市場の将来性を考えてもらい、小さく成功すれば、中規模、大規模なプロジェクトへ成長していく。ただ、国内のマーケティング活動は時間がかかり、教育分野の市場育成と継続的な活動も欠かせない。『IISを使ってビジネスする』ストーリーを語るのが、市場に対する刺激になる」と宇宙ビジネスに対する取り組み姿勢を語った。

商業では「調整が重要になる」Sierra Space

 モデレーターの山崎氏は宇宙ビジネスでの課題を聞いた。

 Space BDの永崎氏は「最大かつ唯一の課題はコスト」と解説した。

 「宇宙におけるわれわれの目的はサテライトを打ち上げて実験し、結果をビジネスにつなげていくこと。それは顧客や政府による資金提供、あるいは投資家の資金調達も大事だが、ニューカマーは『まだトライアル』と十分な予算を確保できず、ISSへの荷物運搬や回収も難しい」(永崎氏)

 そうした状況での課題解決策として永崎氏は「われわれが紹介したのは、JAXAの高品質タンパク質結晶生成実験。顧客にすれば一種のトライアルだが、ギャップを埋める必要がある。われわれのビジョン(である「宇宙に夢と商いを」)を実現するには、新規ユーザーに対する刺激が必要。(自社の持ち出しは)一種の先行投資だ」と述べた。

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