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JAXA、線状降水帯を宇宙と地上から観測–-2022年6月の理事長定例会見

2022.07.13 09:50

小口貴宏 (編集部)

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 JAXA理事長の山川宏氏は定例会見で、近年甚大な災害をもたらしている「線状降水帯」を宇宙と地上の双方から観測する取り組みについて説明した。「地上と宇宙の双方から観測する」というJAXAの強みを活かすことで、線状降水帯のメカニズム解明と予測精度の向上に貢献できるという。

 線状降水帯は、次々と発生する積乱雲が列をなし、数時間にわたって同じ場所を通過したり停滞することで、特定の地域に長時間にわたる強い雨をもたらす。

 この発生メカニズムを解明するために、気象庁を中心とした14の大学と研究機関が連携し、6月から九州を中心とした西日本で集中観測が始まっている。JAXAもこの取り組みに参加するため、気象庁と共同研究の協定を締結した。

 JAXAの具体的な取り組みとしては、熊本地方気象台と長崎大学に地上観測測器を設置し、線状降水帯を構成する降水粒子を観測するという。

 また、複数の地球観測衛星からのデータと地上観測測器のデータを、気象庁の線状降水帯データベースに提供する。これによって、集中観測に参加している大学や研究機関がJAXAの観測データを利用できるようになる。

 加えて、JAXAの上記観測データをほぼリアルタイムで画像化し、広くに一般にも提供するために「JAXA線状降水帯集中観測モニタ」をウェブサイトで公開した。これは観測状況の「見える化」の取り組みの一環だという。

JAXA線状降水帯集中観測モニタ

 また、海上では、船舶や航空機を用いて、線状降水帯の発生や維持に影響を与える環境を把握するための観測を実施するという。 

 このほか、気象庁との協定の範囲外であるものの、気象庁の船舶GNSS(全球測位衛星システム)には、準天頂衛星システム「みちびき」からの位置補正情報が活用されていることを紹介。「JAXAの人工衛星技術が一層、社会インフラに実装されるよう取り組んでいきたい」(山川氏)とした。

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