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厚さ18キロのダイヤモンドの層、水星の地下に存在する可能性 新研究
2024.08.05 08:30
水星は太陽系の中で地球に次いで最も密度の高い惑星であり、その内部は巨大な金属の核(コア)が全体の85%を占める。ベルギーのリエージュ大学の地質学部を統括し、今回の研究結果を報告する論文の共著者でもあるベルナール・シャルリエ氏によれば、水星は月や火星と比較して科学者の間での知見が極めて限られている。ただ他の地球型惑星と異なり、太陽に非常に近いことから酸素量が極端に少なく、それが化学的な組成に影響を与えているという。
米航空宇宙局(NASA)によるこれまでの調査から、水星は炭素が豊富で、その表面が灰色なのは広範に存在する黒鉛に由来することが分かっている。黒鉛は炭素で形成される。ダイヤモンドもまた純度の高い炭素で出来ており、特定の温度と圧力の下で作られる。
過去のデータで確認されていた水星における硫黄の存在もまた、今回実験を行う上での重要な知見となった。地球の条件と異なり、硫黄が豊富な水星の環境を再現した実験では、硫黄を含まない場合よりもサンプルの融点が下がった。シャルリエ氏によれば、高圧に対して比較的低温という条件は、安定的なダイヤモンドの形成にとって好ましいものだという。
研究論文では、上記の二つの要因から水星でダイヤモンドが形成される可能性があると結論する。
ダイヤモンドの層の厚さについて、研究では15~18キロとしているが、これはあくまでも推測に過ぎないとシャルリエ氏は警告する。水星の核が依然として冷え続けるのに伴って、ダイヤモンドの形成は今なお続いているからというのがその理由だ。
それらのダイヤモンドは採掘できるのかという疑問に対し、同氏は将来技術が進歩しても不可能だろうとの見方を示す。ダイヤモンドが埋まっているのは深さ約500キロの地点だからだ。
それでも、地球で起きている現象から類推するなら、水星でも地下深くのマントルが溶けて発生した溶岩の一部が地表に上昇する際、ダイヤモンドを運んでくると考えるのは合理的だとシャルリエ氏は指摘する。
(この記事はCNN.co.jpからの転載です)