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超新星から謎の光、東京大の望遠鏡が発見 シミュレーションはガス?

2021.12.14 07:30

朝日新聞

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 しし座の方向で昨年4月に見つかった超新星が、爆発直後にフラッシュのような謎の光を放つのを、東京大カブリ数物連携宇宙研究機構(IPMU)や京都大、広島大のチームが発見した。通常の爆発では説明が付かない現象で、飛び散った星のかけらが、もともと星の周りにあった濃いガスの成分にぶつかって光ったと考えられるという。

 IPMUの姜継安(ジャンジアン)特任研究員らは、東大木曽観測所の105センチシュミット望遠鏡のデータから、瞬間的に明るくなっていったん暗くなり、再び明るくなった不思議な超新星を見つけた。望遠鏡には超高感度の動画カメラ「Tomo―e(トモエ) Gozen(ゴゼン)」が取り付けられており、通常は爆発から数日後に見つかる例が多い超新星を、爆発の5時間後に発見できたという。

 この超新星は、Ⅰa型という爆発規模がほぼ一定になるタイプだった。宇宙のどこでいつ爆発しても規模がほとんど変わらないため、灯台のような存在として距離を測る目印として使われている。こうした大きな明るさの変化が起きるのは通常では考えにくい。

 そこで、京都大の前田啓一准教授らは、爆発した星の周りに濃いガスが漂っていたと仮定。太陽系に見立てた場合、太陽から地球の軌道付近にまでガスがあったとしてシミュレーションすると、爆発してバラバラに飛び散った星が、光速の約3%でガスに衝突して瞬間的に光を放った可能性が高いことがわかったという。

 論文は8日付の専門誌「アストロフィジカル・ジャーナル・レターズ(https://iopscience.iop.org/article/10.3847/2041-8213/ac375f)」に掲載された。(東山正宜)

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