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火星で見つかった「切り株」クレーター、過去の気候解明の手掛かりに
2022.02.02 14:56
一見すると切り株のような火星のクレーターの画像が、1日までに新たに公開された。欧州宇宙機関(ESA)が主導する火星探査プログラム「エクソマーズ」で打ち上げた探査機がとらえた。
ESAによると、ちょうど樹木の年輪から地球の過去の気候に関する詳細な情報が得られるのと同様に、クレーターの内側の模様が火星のたどった歴史を明らかにしてくれるという。
画像は2021年、ESAとロシアの宇宙機関ロスコスモスが打ち上げた探査機に搭載したカメラで撮影された。探査機は16年に火星に到達し、18年からミッションを開始している。
写っているクレーターは、火星の北半球に広がる巨大な平原、アキダリア平原に位置する。一帯はSF映画「オデッセイ」で主人公の宇宙飛行士が1人置き去りにされる舞台になったことでも知られる。
科学者らは現在、こうした平原にかつて広い海洋やその他の水域が存在した可能性を議論している。おそらくその水面は、氷で覆われていたとみられる。
ESAはクレーターの内部について、氷を含むであろう堆積(たいせき)物に満たされているとの見解を表明。先週公開した声明で、「これらの堆積物は火星の歴史の初期に積み重なったと考えられる。当時の自転軸の傾きにより、水氷を含んだ堆積物が現在よりも低緯度で形成された」と述べた。
「地球と同様、火星の自転軸の傾きは季節の変化を生じさせるが、地球と異なりその傾きは長い時間にわたって劇的に変動した」
クレーター内にできた様々な形状の割れ目は、季節による気温の変化の結果である公算が大きい。気温の変化に合わせ、氷を豊富に含んだ物質が拡大、収縮したため最終的に割れ目が生じたとみられる。
画像の撮影以外にも、同探査機は火星の大気中の気体を分類したり、地表をマッピングして水分の豊富な地域を探したりしている。これらのミッションにより科学者らは、火星上の水の歴史や、過去に生命の繁栄が可能だったのかどうかといった事柄についてより深い知見を得られる見通しだ。
来年には、かつて太古の海洋があったと思われる地域に探査車を送り込み、地下を調べて生命の兆候を探る計画だとESAは述べた。
(この記事はCNN.co.jpからの転載です)