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月探査機の電波受信に成功 人工衛星運用で民間と共同研究 福井工大

2022.12.16 18:01

朝日新聞

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 月探査機からの電波受信に成功したり、宇宙航空研究開発機構(JAXA)や企業と共同研究を始めたりと、福井工業大学が宇宙事業を活発に進めている。学生や院生も加わっており、宇宙分野で活躍する人材育成も担っていく考えだ。

 福井工大によると、JAXAと東京大が開発した超小型探査機エクレウスからの極めて弱い電波の受信に成功した。アポロ計画から半世紀ぶりとなる米国の有人月探査「アルテミス計画」の第1段階として11月16日に打ち上げられ、月周辺の調査などを行っている。

 福井工大には直径2・4~10メートルのパラボラアンテナが3基ある。地球を周回する高度500~千キロの衛星データを受信するのが主な目的だ。今回は8月に設置した3・9メートルのアンテナで38万キロ離れた月の軌道を周回するエクレウスの電波受信に挑戦、11月23日に成功した。例えば月面に置いた小型トランシーバーと通信するような微弱な電波だという。

 JAXAには34~64メートルのアンテナが3基あり、月より遠い探査機の電波受信も可能だ。ただ、他の探査機からの電波を受信したり、遠隔で動きを制御したりしており、福井工大が共同研究でこれらの運用を補完する。福井工大は来夏、月を周回する衛星に対応できる直径13・5メートルのアンテナを設置し、態勢を強化する。

 さらに、13・5メートルのアンテナで月より遠い「深宇宙」探査機の運用をJAXAと共同で取り組むと今月9日に発表した。4年の長期計画で、JAXA以外では国内で唯一運用ができる地上局の役割を担う。

 一方で福井工大は、宇宙産業の拠点化を目指す福井県の政策の一環で2021年に地方自治体として初めて打ち上げた人工衛星「すいせん」のプロジェクトに参加。総合繊維メーカー、セーレン(福井市)が中心となって24年春に打ち上げる人工衛星プロジェクトのメンバーでもある。

福井工大はパラボラアンテナを含む地上局を活用し、セーレンと共同研究を始めた=2022年11月30日午後1時46分、福井県あわら市北潟、長屋護撮影
福井工大はパラボラアンテナを含む地上局を活用し、セーレンと共同研究を始めた=2022年11月30日午後1時46分、福井県あわら市北潟、長屋護撮影

 セーレンは繊維加工技術をいかした防音材がJAXAの小型ロケットの部品となるなど、宇宙ビジネスの拡大を図っている。そのセーレンと福井工大は11月末、人工衛星の運用から衛星データの利活用までの共同研究に取り組むことで合意した。

 福井工大の宇宙に関する研究はこれまで、電気電子工学科や大学院の宇宙情報科学コースで取り組んできた。アルテミス計画は月基地をつくることを目指していることから、これに関わる研究を31テーマで始めるという。掛下知行学長は「宇宙好きが集まる大学にしていく」と語った。(長屋護)

福井工大あわらキャンパスに設置された直径3・9メートルのアンテナ=2022年11月30日午後1時52分、福井県あわら市北潟、長屋護撮影
福井工大あわらキャンパスに設置された直径3・9メートルのアンテナ=2022年11月30日午後1時52分、福井県あわら市北潟、長屋護撮影

(この記事は朝日新聞デジタルに2022年12月16日11時に掲載された記事の転載です)

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