解説

宇宙企業でインターンするってどんな感じ?応募方法や業務内容は?–現役大学生が解説

2023.10.17 10:00

牧野有里子

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 近年、宇宙開発は目まぐるしい発展を遂げています。多くの宇宙企業が日々成長しており、学生もインターンとしてこれらの企業に関わることができます。

 本記事では、株式会社ElevationSpaceに学生インターンとして参加している牧野有里子が、「宇宙企業における学生インターンの実際」について自身の経験に基づいて解説します。

編集部注:ElevationSpaceでインターンとして働く牧野有里子さん(慶應義塾大学 理工学部 物理学科4年生。2024年には東京大学 大学院 理学系研究科 地球惑星専攻に進学予定)

そもそも宇宙企業とは?

 国主体の時代は終わり、民間企業が増えている宇宙業界。ベンチャー企業を中心に、多種多様な業種が宇宙業界に参入しています。

 例えば、ElevationSpaceでは宇宙で研究開発・製造を行い、地球に物資を回収することのできるサービス「ELS-R」を提供しています。この他にも、宇宙企業はロケットや惑星探査、宇宙医学、宇宙旅行サービスなど多様な業種で存在し、日々発展しています。

どんな業務をするの?

 前述の通りさまざまな宇宙企業が存在するため、一概には言えません。

 なお、私はElevationSpaceで主にビジネスリサーチを担当しています。例えば、米航空宇宙局(NASA)が実施した宇宙バイオ実験について、NASAのホームページからカテゴリーごとに実験を分類し、生物や微生物、創薬、臓器などの実験対象や環境、目的などを洗い出し、今後の宇宙における実証実験に役立つようリストアップするようなことをしています。また、イベントの手伝いもしています。

 このように、宇宙企業でのインターンの仕事内容は、企業の取り組みやニーズによって異なり、設計やシステム、SNSの運用、営業など、多岐にわたります。

私自身が感じたメリット

 私自身が宇宙企業でインターンをして感じたメリットは、教科書やインターネットでは得られない知識や経験を得られる点です。

 一例を挙げると、生命の起源や宇宙での生命の存在可能性について考える学問「Astrobiology」(アストロバイオロジー)について、ビジネスとしての視点を初めて知ることができました。

 Astrobiologyは、生命の起源や宇宙での生命の存在可能性について考える学問で、ビジネスとは結びつきにくいと思っていました。しかし、前述のようにインターンでリサーチの業務をするなかで、宇宙における生活の質を向上させる手段として、微生物や他の生物の臓器の利用が実験されていることや、創薬を目的に宇宙での生物実験が実施され、その際にAstrobiologyが役立っていることがわかりました。

 Astrobiologyは宇宙ではビジネスにならないと考えていた私にとっては衝撃で、かつ今後の可能性を見いだせる嬉しい発見でした。インターンとして業務をしていく中で、最新の状況やその軌跡を知ることができるのは、自身の考えの刷新にも繋がる良い機会になります。

 また、人脈が広がることもメリットです。企業間のコラボレーションが多く、ロケットや衛星などよく知られた業種はもちろん、宇宙アートや宇宙教育、宇宙コンサルなど、今まで知らなかった新しい宇宙との組み合わせや、創薬や建築をはじめ非宇宙企業とのつながりも生まれます。

 それまで遠い憧れだったJAXAやNASAで働かれている方にお会いする機会ができたのも、自身のモチベーションの向上に繋がったと感じています。

そもそもインターンとして採用されるには?

 宇宙企業でインターンとして働くには、企業のウェブサイトやSNSでの求人情報を確認するのが一番確実です。特にベンチャー企業は、SNSを通じてインターンを募集していることが多いです。

 また、宇宙関連の団体に所属することも有効で、団体内での人脈を通じてインターンの機会を得ることができます。強く希望する企業がある場合は、直接連絡を取るか、交流会やカンファレンスでコンタクトを取るのも良い方法です。

 そのほか、これは非常に稀ではありますが、直接企業からインターンのご連絡をいただくこともあります。実は私もインターンのきっかけは、直接のご連絡でした。宇宙が好きで様々な活動を行っていると、このような採用方法もあるのかなと思います。ElevationSpaceでは、学生である私の将来や興味範囲に繋がるように業務内容を考えてくださいました。

 宇宙が好きで、その気持ちをもって動いている人を採用したいと考える企業は多いですし、そのうえで学生のことをしっかり考えてくださる企業も確実に存在するのです。

どんな人が向いている?

 ズバリ「宇宙が好きな人」です。これは宇宙事業について学び、関与していきたいと考える人にとっては、自らの学びが仕事と結びつく魅力的なフィールドとなるからです。

 しかし、宇宙を好きであることは必須条件ではありません。新しい分野での経験を望む人、ものづくりが好きな人、ベンチャー企業でビジネスの世界を垣間見たい人など、様々な動機を持つ人々も歓迎されます。

 重要なのは、個人が何らかの目的や意欲を持っていることです。宇宙業界は、情熱と意欲に溢れる学生たちを歓迎し、キャリアを築く手助けをしてくれるはずです。

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