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インターステラが開発するロケット「ZERO」、初号機搭載ペイロードが決定
2025.08.13 08:34
インターステラテクノロジズ(北海道大樹町)が開発している小型衛星打ち上げロケット「ZERO」初号機に搭載する貨物(ペイロード)の顧客が決まった。8月12日に発表した。
ZERO初号機にペイロードを搭載するのは、シンガポールの衛星事業者Ocullospace、米非営利団体Wolfpack、大阪公立大学、東京都市大学の衛星4機、両大学に衛星分離機構を提供して実証する韓国のDALRO Aerospace。5者がインターステラと打ち上げ契約(Launch Service Agreement:LSA)を締結した。

Ocullospaceは、赤道域を中心にアジア全域に向けたIoT特化型衛星サービスの展開を目指している。ZERO初号機には1Uサイズのキューブサットを搭載して、地球低軌道(LEO)でのIoT接続やリモートセンシングの応用を「LoRA」や「NB-IoT」などのプロトコルで検証する。今回のミッションでは、民生品を活用したコスト効率の高い設計に重点を置いており、将来的にアジア地域のIoTインフラ構築を支えることを目的にしている。
Wolfpackは、Aerospace and Innovation Academyの支援を受けて活動する非営利団体で、11〜18歳の学生にキューブサットの設計や製造、打ち上げを通じた実践的な学びの機会を提供しているという。米航空宇宙局(NASA)の「CubeSat Launch Initiative」という取り組みに採択された初の中学生グループとして、これまでに複数のミッションを成功させ、国際的な場で研究成果を発表してきたと説明する。
今回のミッションを通じて、グローバルに活動の場を広げるとともに、実践的な宇宙プロジェクトで若年層のSTEM(Science、Technology、Engineering、Mathematics)教育に貢献することを目指している。ZERO初号機に載せるキューブサットの大きさは1U、重さは1kg。
大阪公立大学の小型宇宙機システム研究センター(Small Spacecraft Systems Reserach Center:SSSRC)は、学生が主体となって超小型人工衛星やロケットを開発する研究拠点。これまでに複数の超小型衛星を開発しており、地域連携や人材育成にも貢献していると説明する。
現在、文部科学省の宇宙航空アーキテクト育成プログラムの支援を受けて小型宇宙機の研究、設計開発を進めている。ZERO初号機には「OMUSAT-III」を搭載する。OMUSAT-IIIの大きさは2U、重さは4kg。
東京都市大学がZERO初号機に載せる「TCU-01」はユーザー中心のイノベーティブな超小型衛星という。同衛星のミッションは、地域の住民や子供たちのように普段、宇宙に縁の遠い人々が開発や運用に参加することで宇宙を身近に感じてもらい、地域のコミュニケーション力を高めることと説明。地域の不登校の児童にも参加してもらうことで自身の自己肯定感を高めてもらうことも目的としている。
世界の子どもたちに宇宙に関心を持ってもらうために、TCU-01には、英公共放送局のBBCが開発した教育用マイコン「BBC micro:bit」を世界で初めて搭載し、宇宙からmicro:bitを使ったミッションも予定している。TCU-01の開発には、同大学の宇宙科学教育コミュニティーであるTCU Aerospace Community(TAC)の学生や教員も参加している。TCU-01は大きさが1U、重さが1.3kg。
DALRO Aerospaceは2023年4月に設立された韓国企業。キューブサットや小型衛星向けにカスタマイズされた衛星分離・展開システムを提供している。韓国政府のスタートアップ支援プログラムの下で独自の衛星分離システムを開発しており、インターステラをはじめとするアジア太平洋地域の打ち上げ事業者と連携して、同地域での宇宙へのアクセス拡大を目指している。ZERO初号機に載せる衛星分離機構の重さは約3kg。

関連情報
インターステラ プレスリリース
ZERO
Ocullospace
Wolfpack
CubeSat Launch Initiative
大阪公立大学 SSSRC
OMUSAT-III
東京都市大学 TAC
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