ニュース

NASA新トップとなったダフィー氏とは何者か?–気になる予算の行方を占う

2025.07.14 14:59

塚本直樹田中好伸(編集部)

facebook X(旧Twitter) line

 Trump(トランプ)政権から米航空宇宙局(NASA)の暫定長官に任命されたSean Duffy(ショーン・ダフィー)氏の経歴を海外メディアのSpace.comが報じている

 Duffy氏は1月20日から長官代行を務めているJanet Petro(ジャネット・ペトロ)氏からNASA暫定長官の任務を引き継いだ。この動きは、ホワイトハウスがJared Isaacman(ジャレッド・アイザックマン)氏のNASA長官指名を撤回してから1カ月余りのことだ。

 Duffy氏は1971年10月、ウィスコンシン州北部の小都市のヘイワードで生まれた。少年時代に「スピードクライミング」と呼ばれる競技に取り組み、30歳当時には同競技で2つの世界タイトルを保持していた。ミネソタ州のセント・メアリーズ大学で、マーケティングの学士号を取得している。

 その後、Duffy氏はテレビのリアリティ番組「The Real World:Boston」に出演。そのスピンオフ番組などに参加し、妻となるRachel Campos(レイチェル・カンポス)氏にも出会っている。2人は1999年に結婚、現在までに9人の子どもがいる。

 結婚したのと同じ年に、Duffy氏はウィリアム・ミッチェル法科大学院を卒業し、個人開業の弁護士としてキャリアをスタートした。2002年にウィスコンシン州アシュランド郡の地方検事に任命された。

 2011年にウィスコンシン州第7選挙区選出の下院議員に選出。心臓疾患を抱えた娘と一緒に過ごすために2019年9月に下院議員を辞職した。その後、CNNの政治コメンテーターやロビイストとして活躍。2023年1月から、Fox Businessチャンネルの番組「The Bottom Line with Dagen and Duffy」の共同司会者を務めていた。2025年1月から始まった第2期Trump政権で運輸省長官として指名、承認された。

 Duffy氏がNASAの暫定長官にどれくらい就任するのかは不明だが、しばらくの間になる可能性がある。「たとえ短期間であっても、彼はますます重要になる宇宙機関の素晴らしいリーダーになるだろう」とTrump氏はTruth Socialに投稿している。

 Isaacman氏の指名が撤回された後、NASA内部では、新しい長官候補が指名され、連邦議会上院で承認されるのは年末、それまでは長官代行のPetro氏がNASAを率いていくだろうという見方だったことを米メディアArs Technicaは明らかにしている

 Petro氏はホワイトハウスに直接的な影響力がない。だが、Duffy氏は大統領に直接テキストメッセージを送ることができる。Duffy氏は、NASAでの自身の使命は、ホワイトハウスからの予算要求に基づいてNASAのビジョンを実行することだと考えている可能性が高いとArs Technicaは分析している。

 Ars Technicaはまた、Duffy氏の任命は、大統領の予算要求に対する上院の回答発表前夜に行われたと指摘。上院はホワイトハウスの行政管理予算局(OMB)が提案した削減策の多くを復活させる可能性が高いとも指摘している。

 しかし、OMBのトップであるRuss Vought(ラス・ヴォート)氏をDuffy氏は支持し、ホワイトハウスが示した予算案を執行される可能性が高いという見方を同誌は明らかにしている。Vought氏は、大統領が連邦政府支出を統制する権限を拡大すべきだと強く信じており、連邦政府機関に支出凍結を命じたり差し押さえといった戦術を行使したりすることでホワイトハウスの予算案を実現させる可能性が高いという。

5月28日に講演するDuffy氏(出典:U.S. Department of Transportation)
5月28日に講演するDuffy氏(出典:U.S. Department of Transportation)

関連情報
Duffy氏経歴(米運輸省)
Space.com
Ars Technica

Related Articles