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ISCとLetara、CAMUI型ハイブリッドエンジンを燃焼試験–7秒の安定燃焼と推力5000Nを達成
2025.07.03 09:00
将来宇宙輸送システム(Innovative Space Carrier:ISC、東京都中央区)とLetara(札幌市北区)は「CAMUI」型設計を採用したハイブリッドエンジンの燃焼試験を実施した。7月2日に発表した。
合成ゴムを燃料にしたCAMUI型ハイブリッドロケットエンジンの燃焼試験は衛星打ち上げ用ロケットの開発に必要な試みと説明する。
燃焼試験は7月1日に北海道赤平市のLetara試験場で実施。目標としていた7秒間の安定した燃焼と推力5000ニュートン(N)の達成を確認した。
CAMUI型とは、燃料内部に複数の中空筒(ホール)を通すことで燃焼面積を保ち、燃焼を安定させる設計方式。推力を効率的に維持しながら燃焼を継続できる、この構造は、一般的な単孔型のハイブリッド燃料に比べて、長時間かつ制御しやすい燃焼が可能としている。
7秒間の連続燃焼は、燃焼挙動が安定していることを確認するのに十分な時間であり、この間に得られる大量のデータから、エンジン内部の流れや燃焼の様子を精密に分析できると説明。5000Nという推力レベルでの試験からエンジン設計の信頼性に関するデータも得られたとしている。

ISCは、再使用型ロケット開発プロジェクトである「ASCA」を進めており、同プロジェクトは宇宙輸送の高頻度化と低コスト化を目指す中核プロジェクトでもある。
現在、進行中のミッション「ASCA 1.0」は初期段階に位置付けられた技術実証機。高度100m以上への上昇と目標地点への誤差5m以内の着陸を目指して各種データの取得を目的にしている。ASCA 1.0では、米エンジン専業メーカーであるUrsa Major Technologiesと協業してエンジン開発に向けて共同検討を進めている。
並行してISC自身でのエンジン開発も進めている。第3の選択肢として、Letaraとの共同開発によるハイブリッドエンジンの研究開発も進めている。エンジンがロケット開発での肝であることを踏まえ、性能やスケジュール、コストといった複数のリスクを分散するためと説明している。ISCとLetaraは4月に包括連携協定を締結して、パートナーシップを強化している。

