ニュース

スマホと衛星の直接通信「au Starlink Direct」、山間部での遭難救助の初動を30分以内に

2025.06.03 08:30

UchuBizスタッフ

facebook X(旧Twitter) line

 KDDIなどは衛星とスマートフォンの直接通信サービス「au Starlink Direct」と登山アプリ「ヤマレコ」と山岳救難救助隊が一体となって連携した、山間部での救助活動の実証に成功した。空が見える場所であればどこでも救助を求めることが可能になり、救助活動までの時間の削減に貢献すると説明する。

 5月30日に発表した。実証にはヤマレコ(長野県松本市)や長野県警察本部が参加し、長野県北沢峠で実施した。

実証イメージ(出典:KDDI)
実証イメージ(出典:KDDI)

 山岳遭難事故は増加傾向にあり、2023年には全国で過去最多の3126件が発生している。電波の届かない場所の多い山間部では、遭難しても連絡する手段がなく、家族や緊急機関が状況を把握するまでに数日から数十日かかる場合もあるという。

 長野県警察は、救助するために2次災害の防止や適切な救助方法を検討するため、遭難者の状態や登山計画、保険加入の有無などを確認している。既存の衛星SOSサービスでは、特定OS端末に限られるほか、これらの詳細情報を取得できないため、迅速に情報を取得できる新たな手段が求められていたとしている。

 今回の実証では、au Starlink Directで電波の届かない登山道でもヤマレコを通じて、位置情報や遭難状況を簡単にメッセージで送信できることを確認。遭難者から送られた遭難状況を、遭難者情報照会システム「SAGASU(サガス)」に連携するとともに、家族に能動的なメッセージ通知できることも確認した(圏外から衛星とスマホの直接通信を経由して情報を登録先に転送する仕組みはKDDIが特許を取得している)。

 メッセージ通知が届いた家族が警察に通報し、警察が位置情報や負傷状態、装備、保険加入の有無、登山ルートなどを家族からの申告とSAGASUで把握することで、山岳遭難救助隊の救助初動までの時間を大幅に削減できることも確認している。通常、通日から数十日かかるところ、30分以内で初動を開始できたという。

ヤマレコからau Starlink Directで遭難状況を送信する(出典:KDDI)
ヤマレコからau Starlink Directで遭難状況を送信する(出典:KDDI)

関連情報
KDDIプレスリリース
ヤマレコ

Related Articles