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スターシップ、3月「Flight 8」の失敗原因はエンジン故障–スペースX発表

2025.05.27 17:20

塚本直樹

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 米Space Exploration Technologies(SpaceX、スペースX)は米国時間5月23日、次世代ロケット「Starship」(スターシップ)の8回目の飛行試験「Flight 8」の失敗原因がエンジンの故障にあったと発表した。

 3月に実施されたFlight 8は、第2段(上段)の複数の「Raptor」(ラプター)エンジンが打ち上げから8分後に停止し、カリブ海の上空で空中分解した。1月の「Flight 7」も同様に上段が空中で分解したが、その原因は異なっている。

 Flight 8が失敗した原因は、上段中央のRaptorの1基が故障したことにある。これにより推進剤が意図せず混合、着火し、エンジンが損失。その直後に中央の他の2基のRaptorと、外側の真空仕様のRaptorの1基が停止し、機体を制御できなくなった。

 SpaceXはFlight 8の失敗を受けて「キージョイントの追加プリロード」「新しい窒素パージシステム」「推進剤排出システムの改良」といった改善を施したと説明。将来のRaptorには、今回の問題を踏まえた信頼性向上が盛り込まれる予定だ。

 Flight 7の事故は、想定を大幅に上回る共振応答(ハーモニックレスポンス)が発生し、推進システムに過剰な負荷をかけ、燃料の漏れとエンジンベイの火災を引き起こしたという。

 米国時間27日に予定されている「Flight 9」では、第1段(下段、ブースター)としてFlight 7で使われたブースターが再利用される。一部の部品は交換されたが、大部分は以前使われたもので、33基あるRaptorのうち29基が再利用される。ブースターの発射塔での空中キャッチは実施されず、沖合に着水する予定。

Flight 9に備えるStarship(出典:SpaceX公式Xアカウント投稿)
Flight 9に備えるStarship(出典:SpaceX公式Xアカウント投稿)

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Flight 9
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