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トランプ関税、衛星の打ち上げにも影響–還付金制度の周知不十分で25%を支払った企業も
独Exolaunch(エクソローンチ)は、Space Exploration Technologies(SpaceX、スペースX)を利用する非米企業による衛星打ち上げで関税還付の支援を求めている。米メディアSpaceNewsが報じている。
現米政権は4月、米国に輸入されるほとんどの製品に10%の関税を課すと発表した。一部の国に対しては、さらに高い関税や追加の貿易制裁が課されている。これまで米国での打ち上げを目的に輸入された衛星は、米国統一関税表(Harmonized Tariff Schedule of the United States:HTSUS)により関税免除の対象だった。
カナダの衛星スタートアップGalaxia(ギャラクシア)の最高経営責任者(CEO)であるArad Gharagozli氏によれば、同社が6月のSpaceXのライドシェア(相乗り)ミッションに向けて衛星を米国に発送した際、25%の関税が課されたという。同社はミッションのキャンセルも検討したが、結局費用を負担して打ち上げることを決定した。
一方で米国税関・国境警備局(Customs and Border Protection:CBP)には「Duty Drawback(関税払い戻し制度)」という仕組みがあり、輸出または再輸出された貨物(打ち上げ用の衛星など)については、最大99%の関税の還付を受けることができる。Exolaunchによれば、この制度の情報が不十分で、通知からわずか数日で衛星の25%相当額の関税を支払う必要があったという。
現政権による関税はSpaceXだけでなく、United Launch Alliance(ULA)やBlue Origin(ブルーオリジン)など、米国から衛星を打ち上げる外国の企業にも適用される。
米国にも拠点を構えるRocket Lab(ロケットラボ)がニュージーランドから打ち上げる場合は、関税の適用外だ。しかし、Rocket Labの米国拠点(バージニア州ワロップス島)から衛星を打ち上げる場合には関税が適用される。
カナダに本社を構えるMDA SpaceのCEOであるMike Greenley氏は米国に輸出している製品のほとんどが米国・メキシコ・カナダ協定(USMCA)に準拠していることが分かったという。
米国に拠点を置くGlobalstarなどに衛星を製造しているMDA Spaceは、関税払い戻しに頼るのではなく、輸入時に免税措置を受ける資格を得ることで新たな関税を完全に回避できるとしている。
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SpaceNews