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月面探査「アルテミス計画」大幅見直し–2026年度予算案でSLSロケットやゲートウェイが廃止へ
2025.05.03 12:19
トランプ政権は2026年度の米航空宇宙局(NASA)予算案で、月面探査プロジェクト「アルテミス計画」の要となる「Space Launch System(スペース・ローンチ・システム、SLS)」ロケットと「Orion」(オリオン)宇宙船を段階的に廃止し、国際宇宙ステーション(ISS)の運用も縮小すると発表した。
米国時間5月2日に発表された2026年会計年度の簡易版予算案(スキニー・バジェット)では188億ドル(約2兆7000億円)が要求されており、これは2025年度の249億ドル(約約3兆6000億円)から約24%の削減となる。なお、完全版の予算案は5月下旬に発表予定だ。
予算案では有人による月・火星探査の強化が重視されており、月探査には70億ドル(約1兆円)以上、火星関連の新規プロジェクトには10億ドル(1400億円)が割り当てられている。一方で月探査計画の中核となるSLSとOrionに関しては、3回の飛行をもって段階的に廃止することが提案された。今後は、より費用対効果の高い商業打ち上げシステムへと移行する意向だ。
国際的な月周回基地「Gateway」(ゲートウェイ)の中止も提案された。国際宇宙ステーション(ISS)に関しては、運用および輸送費が2025年度の約30億ドル(約4300億円)から5億ドル(約720億円)削減される。ISSは2030年までの退役と商業宇宙ステーションへの置き換えが予定されており、ISSへの乗員・物資打ち上げ回数も削減される予定だ。
NASAの科学プログラムも約50%削減される。具体的には、火星サンプルリターン計画「Mars Sample Return、MSR」や、「Landsat Next」衛星の見直しがあげられている。NASAの宇宙技術ポートフォリオも約50%削減され、教育プログラム(STEM Engagement)も廃止対象となった。
