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「宇宙戦略基金」第二期の5テーマ案を総務省が公開–衛星光通信や通信衛星技術など約450億円
2025.03.14 19:29
総務省は3月11日、「宇宙戦略基金」第二期の実施方針の素案を公開した。技術開発テーマとして衛星等分野において全5テーマ案を設定し、総額で450億円近くを投資する。文部科学省(予算1550億円)と経済産業省(予算1000億円)からもテーマ案が出され、正式決定後にJAXAより順次公募が始まる予定。

(1)衛星光通信を活用したデータ中継サービスの実現に向けた研究開発・実証
静止軌道と低軌道等との間における商用利用が可能な衛星光通信技術の確立に向けて支援する。また、データ中継衛星の運用に際して必要となるネットワーク制御および監視可能なシステムを開発し、運用確立に向けた支援をすることで、国内事業者が提供する宇宙空間におけるデータ中継サービスの実現を目指す。支援総額は235億円(1件あたり上限235億円・採択予定1件・支援期間は最長5年)。

(2)衛星光通信の導入・活用拡大に向けた端末間相互接続技術等の開発
衛星光通信端末の相互接続確保に関する技術開発を支援するほか、衛星光通信に関する軌道投入前の検討等を容易にするためのツールの技術開発を支援。2028年度までにTRL8(Technology readiness levels:技術成熟度レベル)相当を確保することで、衛星光通信の導入・活用拡大に向けた環境を整備する。支援総額は30億円(1件あたり上限25億円・採択予定2件・支援期間は最長3年)。

(3)衛星光通信の実装を見据えた衛星バス及び光通信端末の開発及び製造に関するフィージビリティスタディ
衛星光通信の普及が見込まれる2030年代以降を見据えて、官民双方の国内需要への対応と国外市場におけるシェアの獲得を目指す。衛星光通信において、衛星バスおよび光通信端末に求められる技術的要件のほか、納期や価格等の国際競争力につながる要件を調査・検討。その結果を踏まえて、今後の技術開発の方向性を検討するためのフィージビリティスタディを行う。支援総額は4億円(1件あたり上限4億円・採択予定2件・支援期間は最長2年)。

(4)国際競争力ある通信ペイロードに関する技術の開発・実証
衛星通信需要に対応した通信ペイロードの機能の高度化に関する技術を開発し、2030年度までにTRL8相当を確保する。技術の開発にあたっては、国内外の市場における継続的な受注獲得を目指す。また、本テーマ終了後は、提案機関が自ら投資して継続的に研究開発を進めることが可能な状態にし、国際競争力ある通信ペイロードの製造・供給基盤を維持・強化することを目指す。支援総額は58億円(1件あたり上限58億円・採択予定1件・支援期間は最長5年)。

(5)衛星通信と地上ネットワークの統合運用の実現に向けた周波数共用技術等の開発・実証
衛星通信と地上ネットワークを統合的に運用可能とするために必要な周波数共用に関する技術の開発・実証を行い、当該技術を実用可能な水準で確立する。その技術を活用し、衛星通信と地上ネットワークを統合的に運用したサービスについて、提案機関自らが2030年度(目途)までに国内で商用提供を開始する。支援総額は110億円(1件あたり上限110億円・採択予定1件・支援期間は最長5年)。

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