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「宇宙戦略基金」第二期の6テーマ案を経産省が公開–高頻度打ち上げや環境試験など約1000億円

2025.03.14 12:27

UchuBizスタッフ

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 経済産業省は3月13日、「宇宙戦略基金」第二期の実施方針の素案を公開した。技術開発テーマとして全6テーマ案を設定し、総額で1000億円近くを投資する。文部科学省(予算1550億円)と総務省(予算450億円)からもテーマ案が出され、正式決定後にJAXAより順次公募が始まる予定。

出典:経済産業省

宇宙輸送(総額445億円)

 宇宙輸送については、「高頻度打上げに資するロケット部品・コンポーネント等の開発」が総額195億円(1件あたり上限40億円・採択予定10件程度・支援期間は最長4年)、「高頻度打上げに資するロケット製造プロセスの刷新」が総額245億円(1件あたり上限60億円・採択予定10件程度・支援期間は最長4年)、「射場における高頻度打上げに資する汎用設備のあり方についてのフィージビリティスタディ」が総額5億円(1件あたり上限5億円・採択予定1件・支援期間は最長2年)となる。

出典:経済産業省

 2030年代前半までに、打ち上げ能力を年間30件程度確保する政府目標の実現のために、各ロケット事業者の打ち上げ頻度増の計画に対応した、宇宙輸送システムにおける自律的かつ持続的なサプライチェーンの構築を目指す。また、各ロケット事業者の射場設備に関する負担が軽減され、ロケットの開発加速、国際競争力強化を可能にする設備整備に早期に着手したい考え。

出典:経済産業省

衛星データ(総額176億円)

 衛星データについては、「衛星データ利用システム実装加速化事業」が総額176億円(1件あたりの上限は企業規模や国・地域によって異なり最大30億円・採択予定38件程度・支援期間は最長5年)となる。2030年度までを目途に、10件程度の国際競争力のあるソリューションの社会実装を目指す。また、多種多量な衛星データが利用できる環境を構築しつつ、国内企業の衛星システムのデータが選ばれることを目指す。

出典:経済産業省

 想定顧客のニーズの明確化・適切なデータの選択(国産か否かは問わず、比較検討に国産を含めることは求める)を前提としたソリューションの集中的な開発・事業実証を実施。その際、官需における要求のすり合わせの仕組みを構築。国・地域ごとの特性に応じた海外展開基盤を整備する。また、衛星データの品質評価手法および観測センサの校正・検証手法を開発し、これらを利用しやすい環境を整備する。

共通基盤(総額350億円)

 共通基盤については、「革新的衛星ミッション技術実証支援」が総額120億円(1件あたり上限70億円・採択予定3件・支援期間は最長5年)、「宇宙機の環境試験の課題解決」が総額230億円(1件あたりの支援総額は技術開発推進体制によって異なるが最大80億円・採択予定6件・支援期間は最長5年)となる。

 日本が国際競争力を持ち続けられるよう、2030年までを目途に、先端的・革新的な衛星ミッション構想について開発・実証を行い、事業終了後5年以内に社会実装を目指す。また、採択事業のうち少なくとも3分の1が、事業終了時に海外政府機関・投資家等からの資金を調達できることなどを目指す。

出典:経済産業省

 宇宙機の環境試験の課題解決については、2030年度までを目途に、試験準備・実施・結果入手までの試験全体の工期・コストの4分の1~2分の1の削減を目指し、宇宙機需要の急増への対応、迅速な試験および利用を可能とする。また、ミッションやサイズに合わせた試験・評価を可能とし、民生品の宇宙転用を含む、部品・コンポーネントの供給・調達の効率化、非宇宙産業者の新規参入を目指す。

出典:経済産業省

関連情報
経済産業省サイト

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