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月着陸船「ブルーゴースト」、月面掘削で火花を散らす–ファイアフライが動画公開
米Firefly Aerospace(ファイアフライ・エアロスペース)が開発、製造した月着陸船(ランダー)「Blue Ghost」(ブルーゴースト)に搭載された貨物(ペイロード)の一つが月面を掘削する動画が公開された。
Blue Ghostは米Space Exploration Technologies(SpaceX、スペースX)の「Falcon 9」(ファルコン9)ロケットで打ち上げられ、3月2日に月着陸に成功。Blue Ghostのミッションは米航空宇宙局(NASA)の「商業月面輸送サービス(CLPS)」の一環であり、NASAの10個の観測機器や実証機器を月面に運ぶ。CLPSはNASAが主導する月探査計画「Artemis」の一部として月探査に必要な科学的知見を提供する。
月の北東部にある「危機の海(Mare Crisium)」に降り立ったBlue Ghostは、月の地下の熱を調べる機器「LISTER」で月面の掘削を開始。テキサス工科大学とHoneybee Roboticsが開発した空気圧駆動のドリルが月面に穴を開けているのが確認できる。採掘中には小さな爆発が発生し、火花が飛び散っている様子が見える。これは、帯電した月面が原因である可能性がある。
テキサス工科大学が主導して開発したLISTER(Lunar Instrumentation for Subsurface Thermal Exploration with Rapidity)は月の内部から発生する熱の流れを測定することが目的。月の岩石や塵の表面(月のレゴリス)に2~3mの深さまで入り込み、5つの測定値でさまざまな深さにおける熱勾配(深さによって温度がどのように変化するか)と熱伝導率(熱伝導によって熱がどの程度流れるか)という2つの測定値の積として熱の流れを決定するように設計されている。
Blue Ghostはその他にも、NASAの「LMS」を展開した。米Southwest Research Instituteが開発したLMS(Lunar Magnetotelluric Sounder)は、4つのテザー付き電極と高さ2.4mのマストで月のマントルの構造や組成を調査する。太陽風と地球磁気圏からの影響で変化する電場と磁場を測定し、月内部の電気伝導度プロファイルを決定する。この調査で月の温度構造と歴史が特定されるとしている。
Blue Ghostは太陽が沈む3月16日まで月に運んだペイロードでの観測などを続ける。
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Blue Ghost搭載ペイロード(NASA)
Blue Ghost動画
Space.com