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米インテュイティブ・マシーンズの月着陸船「アテナ」、美しい地球を捉える

2025.02.28 12:48

塚本直樹田中好伸(編集部)

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 米Intuitive Machines(インテュイティブ・マシーンズ)にとって2機目となる月着陸船(ランダー)「Athena」(アテナ)が地球の姿を宇宙から撮影した。

 Athenaは、米フロリダ州からSpace Exploration Technologies(SpaceX、スペースX)の「Falcon 9」(ファルコン9)ロケットで米国時間2月26日に打ち上げられた。Athenaは宇宙空間に放出された直後、地球を背景に数枚の自撮り写真を撮影。その中には、探査機の下でFalcon 9の第2段(上段)が宇宙空間を漂う様子を捉えたものも含まれる。

 Athenaによる月着陸ミッション「IM-2」は、米航空宇宙局(NASA)の「商業月面輸送サービス(CLPS)」プログラムの一環として実施されている。Athenaには、NASAから委託された「PRIME-1」や「LRA」のほかに日本のダイモンが開発、製造した小型探査車(ローバー)「YAOKI」、NokiaとNASAが共同で開発した月面通信システム「Lunar Surface Communications System(LSCS)」など10の貨物(ペイロード)が搭載されている。

 PRIME-1(Polar Resources Ice Mining Experiment 1)は、月面の地下1mを掘削する。月の南極付近にAthenaが着陸する地点で、氷の状態で存在する水の豊富さや入手しやすさなどを調べる。LSCSは月面で史上初となる4G/LTEネットワークを確立する計画

 「Athenaは2月26日の打ち上げ後、安定した姿勢を確立し、太陽電池による充電を開始。ヒューストンのミッション運用センターとの無線通信を確立した」「ランダーは非常に良好な状態で、3月3日に予定されている月周回軌道への投入に向けて、軌道を調整するための主要エンジン噴射を準備している。月着陸の機会は3月6日を見込んでいる」とIntuitive Machinesは述べている。

 Intuitive Machinesにとって最初となる、Athenaと同じNova-C級のランダーである「Odysseus」(オデュッセウス)は2024年2月に月着陸を成功させた。民間企業による月着陸は同社が世界初となる。

 現在、月に向かっているランダーはAthenaを含めて3機。米Firefly Aerospaceの「Blue Ghost」と日本のispaceの「RESILIENCE」。Blue GhostとRESILIENCEはFalcon 9で相乗りして打ち上げられた。Blue Ghostは3月2日に月に着陸する予定。RESILIENCEは5月末か6月初旬に月に着陸する見込み。

中央下に見える白い棒状のものがFalcon 9の上段。その近くに見える白く光る点はAthenaと相乗りで打ち上げられたNASAの月探査機「Lunar Trailblazer」かAstroForgeの「ODIN」とみられる(出典:Intuitive Machines)
中央下に見える白い棒状のものがFalcon 9の上段。その近くに見える白く光る点はAthenaと相乗りで打ち上げられたNASAの月探査機「Lunar Trailblazer」かAstroForgeの「ODIN」とみられる(出典:Intuitive Machines)

関連情報
Intuitive Machinesプレスリリース
IM-2概要(Intuitive Machines)
IM-2概要(NASA)
PRIME-1(NASA)
Space.com

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