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「月か火星か」ではなく、両方を目指す–NASA長官代行、改めて確認
米航空宇宙局(NASA)長官代行のJanet Petro(ジャネット・ペトロ)氏は米国時間2月12日、「月と火星の両方を目指すべき」との指針を確認した。海外メディアのSpace.comが報じた。
NASAは月探査計画「Artemis」(アルテミス)を通じて、宇宙飛行士を再び月へと立たせることを目標としている。この計画は、2017年後半に当時のDonald Trump(ドナルド・トランプ)大統領によって立ち上げられた。NASAは以前から「月周辺と月面に持続可能な人類の拠点を築くことが火星への大きな飛躍につながる」と述べてきた。
再選を果たしたTrump大統領、その側近となったSpace Exploration Technologies(SpaceX、スペースX)のElon Musk(イーロン・マスク)氏は「月は時間の無駄、我々は火星に一直線だ」と発言するなど、月を経由することに疑問を投げかけている。
2月12日に開かれた第27回の商業宇宙会議(Commercial Space Conference:CSC、旧Commercial Spaceflight Federation:CSF)に登壇したPetro氏は、「月には何人もの宇宙飛行士が降り立つことになるだろう。それは本当に素晴らしい光景になるはずだ」と発言。今後10〜20年は地球低軌道(LEO)に多数の民間宇宙ステーションが存在し、火星に人類が到達するのは「とてもワクワクする目標だ」と述べている。
Petro氏は、Musk氏が率いる「政府効率化省(Department of Government Efficiency:DOGE)」によるNASAの予算削減計画やTrump政権の「反DEI(多様性・公平性・包括性)」政策については、言及しなかった。
NASA初の女性トップとなったPetro氏は、第2次Trump政権が発足した1月から長官代行を務めている。次期長官としてJared Isaacman氏が指名されたが、米連邦議会の承認はまだ得ていない。
Bill Nelson氏の退任後、長官代行は現次官のJim Free氏が務めるとみられていたが、ケネディ宇宙センター(KSC)所長のPetro氏が長官代行として指名されたのは、驚きを持って迎えられた。
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