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イーロン・マスク氏のテスラ車、未知の小惑星として誤登録される–後に撤回
2025.01.30 14:58
宇宙の冷たく過酷な空間では、時はあっという間だ。SpaceXが強力な「Falcon Heavy」ロケットを初めて打ち上げてから、もう7年だ。
2018年2月6日の打ち上げでは、SpaceX創設者であるイーロン・マスク氏の個人所有のテスラ「Roadster」が宇宙へ送り出された。このチェリーレッドのスポーツカーは今も宇宙にあり、最近は天文学者が誤って小惑星と分類してしまう出来事もあった。
2018年以降、マスク氏は「Twitter」を「X」に変え、「Starship」の開発が大きく進み、Falcon 9の打ち上げが数多く行われるなど、さまざまな変化があった。Falcon Heavyも追加で打ち上げられている。その間ずっと、この赤い車とStarmanというマネキンは太陽を周回し続けている。
Roadsterが「地球近傍天体」に
2025年、マスク氏の車が一時的に小惑星として扱われるハプニングが起きた。国際天文学連合(IAU)の小惑星センター(MPC)は2025年1月2日の速報で、2018 CN41を新たに発見された地球近傍天体(NEO)とした(NEOは小惑星や彗星などを含む)。
しかしMPCは翌1月3日、「これは人工物(2018-017A、Falcon Heavyの上段ロケットとTesla Roadster)と軌道が一致するとの指摘があったため、2018 CN41の名称を削除し欠番とする」と発表した。
新しい宇宙物体は絶えず発見されており、これは重要な作業だ。天文学者は、地球に衝突し得る小惑星を発見・追跡することを目指している。MPCはこれまでに3万7,500を超えるNEOをカタログ化し、そのうち190件は1月だけで登録されている。Roadsterが一瞬とはいえ小惑星扱いされたのは、人間が作った物体が自然の天体に間違われる可能性があることを示す事例の1つだ。
Roadsterは今どこに?
この車が今どこを飛んでいるかは、ウェブサイトで確認できる。Whereisroadster.comは2018年から運用され、Roadsterが宇宙空間でどこにいるのかを追い続けている。サイトの作成者はBen Pearson氏で、車の現在位置や移動距離を算出している。打ち上げから7年がたつ今、Roadsterは推定で約5.6兆kmを「走行」したとされる。
Roadsteが太陽を一周するのにかかる日数は約557日だ。Pearson氏のサイトによれば、移動した距離は、テスラ車の保証走行距離である約5万8000kmの9万倍以上となる。
打ち上げ当時、車ではDavid Bowie氏の「Space Oddity」が流されていた。もしバッテリーとスピーカーが生きていれば、StarmanのマネキンはBowie氏の名曲を69万2000回以上聴いたことになる。耳から離れない曲というレベルではないだろう。
研究者たちは、このRoadsterが将来地球に衝突する可能性も調べており、100万年以内で約6%との予測もある。また、2091年には地球へ比較的近づくとされ、製造元である地球から数十万マイルほどの距離まで接近する見込みだ。
宇宙空間は非常に過酷で、Roadsterもマネキンも相当痛んでいるはずだ。最終的にどうなるかはわからないが、太陽系を漂い続けるか、いずれ回収されて博物館に収められるかもしれない。少し使い込まれた電気自動車でも欲しい人がいるなら、いつか手に入る日が来るだろう。
(この記事はCNET Japanからの転載です)