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スペースXの宇宙船が空中分解、残骸の影響で航空機に遅れ–ブースターのキャッチは2度目の成功
2025.01.17 12:36
米宇宙企業スペースXは現地時間1月16日、宇宙船「スターシップ」を無人で打ち上げる7回目の飛行試験を実施した。スターシップは打ち上げの8.5分後、空中分解して実験は失敗に終わった。一方、ロケットブースターの「スーパーヘビー」は発射台に戻り、2度目のキャッチに成功した。
スペースXはスターシップについて、「上昇中に予定外の急速分解に見舞われた」とX(旧ツイッター)に投稿。「根本原因を探るため、引き続き本日の飛行試験のデータを検証する。こうした試験は学んだ教訓から成功する。本日の飛行はスターシップの安定性を向上させる役に立つ」と強調している。
スペースXの言う「予定外の急速分解(RUD)」は通常、爆発を意味する。
航空機追跡サイトの「Flightradar24」がXに投稿した情報によると、スターシップの爆発に伴い残骸の落下の可能性があったことから、航空機は待機や迂回を強いられた。一方、SNSではスペースシップのものと思われる残骸がカリブ海に落下した様子が伝えられている。
スターシップはスーパーヘビーに搭載されて、現地時間の16日午後4時37分、テキサス州ブラウンズビル近郊にあるスペースXの発射場「スターベース」から打ち上げられた。
スーパーヘビーの「ラプター」エンジン33基のうち1基は初の再利用だった。スペースXは、昨年10月に実施した5回目の飛行試験でスーパーヘビーから回収したエンジン1基を再利用すると発表していた。スーパーヘビーは燃料をほぼ使い果たし、スターシップを切り離すとスペースXに誘導されて発射場への着陸を目指した。スターシップはエンジンを点火して上昇を続けた。
スペースXは、「メカジラ」と呼ばれる発射台に取り付けられた金属アームの「チョップスティックス(箸)」でスーパーヘビーをキャッチすることに成功した。打ち上げ後にスーパーヘビーのキャッチに成功したのは、昨年10月の5回目の飛行試験に続いて2度目だった。
スターシップの失敗は予想外だった。最初の数分は順調な様子で、打ち上げから2分半後にスーパーヘビーから切り離されたスターシップは6基のエンジンを噴射した。
そのまま約5分間自力飛行を続けた後、6基のエンジンのうち内側の3基の燃焼が停止。数秒後には残るエンジンも停止し始め、8分30秒が経過するまでには5基の燃焼が停止した。およそ10分後、スペースXは、スターシップが失われたことを確認した。
スターシップが分解した影響で、米フロリダ州では民間機に遅れが出ている。米連邦航空局(FAA)は、マイアミ国際空港とフォートローダーデール・ハリウッド国際空港で「ロケット打ち上げの異常」のため、平均で1時間の遅れが出ていることを明らかにした。
別のFAAの通知では、「残骸」による遅れに注意を呼びかけている。SNSは、スターシップがカリブ海上空で爆発した瞬間をとらえたとする写真や映像であふれ返った。スペースX創業者のイーロン・マスク氏はそうした投稿を共有し、「エンターテインメントは保証!」とXに書き込んだ。
(この記事はCNN.co.jpからの転載です)