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NASA、太陽観測衛星データが処理不能に–水道管破裂でサーバールーム浸水、復旧は年明けか
米航空宇宙局(NASA)の太陽観測衛星である「Solar Dynamics Observatory(SDO)」と「Interface Region Imaging Spectrograph(IRIS)」のデータが水道管の破裂により処理ができなくなっている。
今回の障害は米国時間11月26日、SDO統合科学運用センター(JSOC)の本拠地がある、米カリフォルニア州のスタンフォード大学のサーバールームにある幅10cmの冷却水のラインで発生した。
「建物は大規模な浸水に見舞われ、(SDOに搭載されている観測機器の)日震磁気撮像装置(HMI)や大気撮像部(AIA)、IRISからのデータを処理、配信する機械が設置されている研究室に甚大な水害が発生した」とJSOCは述べている。
JSOCは「現時点では、被害状況の調査、設備の修理、復旧完了にどれだけの時間がかかるかは不明だ」「被害は甚大で、修復は2025年まで完了しないだろう」との見方を明らかにしている。SDOとIRISは地球軌道上で正常に動作しており、運用に影響は出ていないという。
SDOから送信されたデータを取得するシステムは機能していることから受信データが失われることはないとみられている。海外メディアのSpace.comによると、SDOに搭載されている3つの観測機器の1つである極紫外線変動測定器(EVE)が収集したデータは、今回の被害の影響を受けていないという。
SDOは、地球にも影響を与えた、5月の「太陽フレア」など2010年から太陽を観測している。太陽の観測は科学的な成果だけでなく、地球上の社会生活の安定性という視点でも必須のものとなっている。