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SPACE WALKER、小型再使用ロケットの「機体リース」構想を発表–2030年代に1500億円の収入目指す

2024.10.09 14:28

藤井 涼(編集部)

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 東京理科大学発のロケット開発スタートアップであるSPACE WALKERは、10月8日に事業報告会を開催。その中で、同社代表取締役CEOの眞鍋顕秀氏は、有翼式再使用型ロケットを他社にリースするビジネスモデル「ロケットリース」構想を発表した。2030年代の実現を目指す。

 世界の再使用ロケットは大型が主流で、小型ロケットはまだ実現していない。SpaceXの「Falcon 9」をはじめ、再使用ロケットで採用されている「逆噴射式」では帰還時も推進薬の搭載が必要となることから、大型化を避けられないためだと眞鍋氏は指摘する。そこで、同社では独自技術による推進薬タンクの軽量化と有翼式の機体によって、片道分の推薬でも往還できる小型の再使用ロケットを開発中だ。

世界におけるSPACE WALKERのポジション
同社独自の軽量化技術
有翼式の再使用型ロケットのメリット

 その先に見据えているのが、ロケット機体のリースという世界初のビジネスモデル。一般的にロケットメーカーは、機体製造から打ち上げオペレーションまでを垂直統合で担うが、同社では機体を他社に販売したり、リースで提供したりする、「飛行機や自動車など他のモビリティでは当たり前」(眞鍋氏)のビジネスモデルに挑戦するという。

 眞鍋氏は、小型衛星のリプレイスやチャーター打ち上げ需要は、今後年間で1000機ほどあると予測。仮にSPACE WALKERが年間50〜100回の頻度で衛星打ち上げサービスを実現したとしても、残り900回の機会を取りこぼしてしまうことから、1段目有翼ブースターを他社にリースすることで、できるだけ多くの需要に応えたいと話す。

 同社が開発するロケットの打ち上げ能力は、地球低軌道(LEO)600Kmに310Kgまでの小型衛星を打ち上げられる予定。費用は、衛星打ち上げサービスが1回5億円、他社への機体リースが1回2億円を想定しているという。1回あたり11億円(750万ドル)の打ち上げ費用がかかる、米Rocket Labの小型使い捨てロケットと比較しても、大幅なコスト減を見込めるとアピールした。

 同社では2030年代前半の商用打ち上げサービス開始と同時に機体のリースもはじめる予定。当初は打ち上げサービスを中心に年間500億円の収入(売上高+補助金・助成金)を目指す。その後は、機体リースの数を増やすことで、2030年代中盤に1500億円、2040年代に2500億円以上の収入を目標に掲げた。

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