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中国のX線望遠鏡、史上最強の磁場を検出–従来の2倍、「マグネター」から放出

2022.08.17 17:11

塚本直樹

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 中国のX線望遠鏡「Insight」が観測史上最も強い磁場を検知したことが『Astrophysical Journal Letters』誌に掲載された。

 Insightは「Hard X-ray Modulation Telescope(HXMT)」とも呼ばれる宇宙望遠鏡で、2017年に打ち上げられた。その目的は、X線のエネルギー光子を観測することにある。

 今回Insightが検知したのは、高速で回転する中性子星(マグネター)「J0243.6+6124」から放出された磁場だ。計測されたのは16億テスラ以上で、これまで計測された磁場の約2倍となる数値だ。

 中性子線は、大質量の恒星が崩壊するときにできる。その時の強大な力で物質が押しつぶされ、陽子や電子が融合して中性子となる。そして中性子が1秒間に数百回も回転し、強い磁場を持つことになる。

 Insightは2020年にも、推定10億テスラという磁場を観測していた。今回の計測結果は、中性子星の表面付近の磁場が非常に複雑であることを示唆している。

(出典:CASC)
(出典:CASC)

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