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NASA、「月面ナビ」でコンテスト開催–バックアップ用端末やクレーターの地図作成方法
米航空宇宙局(NASA)は米国時間9月4日、月探査計画「Artemis」(アルテミス)で活用するナビゲーション技術のコンテストを開始した。NASA外部からのアイデアを活用する。応募締め切りは11月25日。
Artemisでは月南極の有人探査が予定されている。コンテスト「Find Me on the Moon: NASA Lunar Navigation Challenge」では、(1)宇宙飛行士が月面を移動するためのローテクなバックアップナビゲーション端末と、(2)直径21kmで深さ4.2kmの「Shackleton」(シャクルトン)クレーターの底にアクセスし、地図を作成する方法――という2つを募集している。
個人とチームの両方が参加可能だ。審査のために提出されるデザインは月面の過酷な環境を考慮し、精度や使いやすさ、自律性を確保する必要がある。
2つある課題のうち、どちらか一方に応募することも、両方に応募することもできる。賞金は(1)が1万5000ドル(約220万円)、(2)が3万ドル(約430万円)。両方の課題に応募して優れた成果に対して5000ドル(72万円)が与えられる。優勝者は2025年1月15日に発表される。
NASAはコンテストについて「月の南極での低い太陽高度による極端な光と影による、方向の把握が問題になる」と説明する。「こうした状況では、宇宙飛行士が視線だけで船外活動(Extravehicular Activity:EVA)の方向を確認するのが、より困難になる」
コンテストについての説明や質疑応答できるウェビナーが米国時間10月2日午後0時(日本時間10月3日午前1)から予定されている。登録すればウェビナーに参加できる。
有人での月探査ミッション「Artemis III」は2026年9月に予定されており、以降のArtemisミッションも宇宙飛行士が月を探査することになっている。月での探査活動を補助するために、米GPSのような衛星による測位システムの月版、LNSS(Lunar Navigation Satellite System)の構想や開発も進められている。
(1)のローテクなナビゲーション端末は緊急時での使用を想定。そのため、電力や電子機器、ソフトウェアを端末に搭載することは考えておらず、ソフトウェアは地球にあるコンピューターを利用することを考えている。
月探査ミッションでのEVAでは主たる仕事が観察やサンプル採取であり、宇宙飛行士は与圧された船外服を着用する。そのため、ナビゲーション端末は直感的であり、習得や使用が容易で、加圧された手袋を着用したまま操作できるものでないといけないとしている。
(2)が活用されるシャクルトンクレーターは、太陽の光が当たらない「永久影」として月面で最も大きい領域の1つであり、大量の水が氷として閉じ込められている可能性が高い。しかし、クレーターの内部を探査し、クレーターとその表面を正確にマッピングすることには複雑な問題が複数あるとNASAは説明する。
クレーターのへりには光が当たるが、クレーター内部は常に影に覆われているために険しい崖や大きな岩などがある。衛星からは読み取りにくい場所であるため、マッピングしにくい。気温はマイナス183度であり、空をみても天体は限られるなどの条件もマッピング作業を困難にしているという。
関連情報
NASA発表
Find Me on the Moon: NASA Lunar Navigation Challenge
Space.com