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一時減光のベテルギウス、前例ない規模の「噴火」発生か
2022.08.15 11:40
一時大幅な減光が観測されたオリオン座の赤色超巨星「ベテルギウス」は、過去に例がないほど大規模な恒星の「噴火」を起こしていた――。天文学者らがそんな見解を明らかにした。
ベテルギウスが最初に注目を集めたのは2019年後半。オリオンの右肩で赤く輝くこの恒星は予想外に暗くなり、20年にも減光が続いた。
一部の科学者からはベテルギウスが超新星爆発を起こすと推測する声も上がり、以来、何が起きたのかを解明する研究が続いている。
天文学者らは今回、ハッブル宇宙望遠鏡などから得られたデータを解析。ベテルギウスは大規模な表面質量放出を起こし、目に見える表面のかなりの部分を失ったとの見方に至った。
米ハーバード・スミソニアン天体物理学センターのアンドレア・デュプリー氏は「恒星の表面で大規模な質量放出が起きるのは過去に見たことがない。我々には完全に理解できない何かが起きている」と指摘する。
太陽ではコロナと呼ばれる外層大気の一部を放出する「コロナ質量放出」が定期的に起きている。こうした宇宙の気象現象が地球を直撃すると、衛星通信や電力網に影響が出る場合がある。
だが、ベテルギウスの表面質量放出は太陽の通常のコロナ質量放出の4000億倍以上の規模に上った。
科学者らの見方では、ベテルギウスの内部で160万キロを超える対流プルームが発生。このプルームが引き起こした衝撃などで噴火が誘発され、「光球」と呼ばれる恒星の表層部分から大きな塊が剥がれ落ちた。
その結果、月の数倍の重さを持つ光球の塊が宇宙空間に放出された。塊は冷えるにつれて巨大なちりの雲を形成し、地球の望遠鏡で観察した時に光が遮られる状態になっていた。
(この記事はCNN.co.jpからの転載です)