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宇宙輸送の「抜本的低コスト化」へJAXAと民間企業の協力拡大–2022年7月の理事長定例会見

2022.08.04 15:30

小口貴宏(編集部)

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 宇宙航空研究開発機構(JAXA)理事長の山川宏氏は定例会見で、「革新的将来宇宙輸送システム研究開発プログラム」における第2回研究提案募集(RFP)の選定結果について説明した。

 山川氏によると、同プログラムは「日本における宇宙輸送システムの自律性確保」「宇宙輸送の抜本的な低コスト化」「民間主体の事業展開の開拓」の3点を目的としている。

 第2回目となる今回の募集では、宇宙輸送のキー技術となるタンクなどの大型構造物や、極低温に耐える部品を軽量かつ低コストで製造する技術について、3段階のステップで大学や企業からそれぞれ募集した。3段階のうち「チャレンジ型」は挑戦的な技術の適用性を深める研究、「アイデア型」は革新的な技術を活用し、課題解決の成立性と市場への活用に向けたアイデアの実現性を検討する研究、「課題解決型」は研究終了から概ね 2年以内に事業化構想達成の見込みがあるものを、それぞれの応募条件とした。

 その結果、「課題解決型」の研究枠において、「炭素繊維強化プラスチック(CFRP)による大型極低温推進薬タンク製造技術」と「3次元金属積層造形(Additive Manufacturing)による大型極低温推進薬タンク製造技術」のテーマについて3件を選定した。

 同プログラムの共同研究期間は最長3年以内で、その後2年以内、つまり5年後の実用化をめざしている。山川氏は「(選定した3件のテーマは)いずれも、課題解決につながっていく研究として期待しております」と説明した。

 また、山川氏によると、同プログラムの活動を進めるなかで、これまで宇宙輸送技術の開発と関連性のなかった業種の民間企業を含め、技術研究に参画を要望しているプレーヤーが増加していることを実感したとのこと。「今後さらに、様々な分野の企業や大学との共創体制を構築し、将来宇宙輸送システム実現に資する成果につなげ、宇宙利用の拡大に貢献したいと考えております」と述べた。

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