「革新的」な固体燃料ロケット、弾道飛行試験に成功--HOSPOで打ち上げ

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「革新的」な固体燃料ロケット、弾道飛行試験に成功–北海道の宇宙港で打ち上げ

2024.03.22 11:59

UchuBizスタッフ

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 宇宙航空研究開発機構(JAXA)の宇宙科学研究所(ISAS)専任教授である森田泰弘氏は、「LTP」ロケット3号機(LTP-135s)の弾道飛行試験を宇宙港「北海道スペースポート」(HOSPO)で成功させた。HOSPOがある北海道大樹町とHOSPOを運営するSPACE COTAN(北海道大樹町)が3月21日に発表した。

 LTP-135sは固体燃料ロケットの量産化技術の確立を目指して開発している「低融点熱可塑性推進薬(Low melting temperature Thermo-plastic Propellant:LTP)」を使用した小型の固体燃料ロケット。今回の試験は3回目の弾道飛行試験。森田氏がHOSPOで試験するのは今回が初めて。LTPがロケット打ち上げの加速度環境下で正常に燃焼することを確認している。

 LTP-135sは全長1783mm、外径135.4mm。重量は24.5kg。HOSPOの滑走路から東南東の方向に打ち上げられ、予定通り最大高度5000m付近でパラシュートを開いて、機体データを送信した。今回の試験は、森田氏が植松電機(北海道赤平市)に打ち上げ業務を委託。IHIエアロスペースとIHIエアロスペースエンジニアリングが協力した。

整備されるLTP-135s(出典:SPACE COTAN)
整備されるLTP-135s(出典:SPACE COTAN)

 現在の固体燃料は、粒子を混ぜた樹脂に熱を固める。一度固めるとやり直しがきかない。作り置きもできないために、大きな設備で一気に作る必要がある。加えて、その設備はたまにしか使わないために効率が悪いと指摘されている。これらが固体燃料ロケットを作る難しさや高コストの一因と指摘されている。

 森田氏が開発するLTPは「熱を加えると溶けて、冷ますと固まる」を何度も繰り返せるという固体燃料。この「熱を加えると溶けて、冷ますと固まる」性質を利用すれば、小さな単位で連続生産して貯蔵しておくことができるという。従来の固体燃料より融点が低いことから、LTPは「低融点」とされている。

 従来の固体燃料は製造するのに数週間が必要。LTPは「製造開始から約4時間」で打ち上げられることから「革新的」と期待されている。

打ち上げられるLTP-135s(出典:SPACE COTAN)
打ち上げられるLTP-135s(出典:SPACE COTAN)

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SPACE COTANプレスリリース

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