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米NASAの月面探査計画、2025年以降にずれ込み 訴訟などで遅れ
2021.11.10 18:30
米航空宇宙局(NASA)のビル・ネルソン長官は9日、NASAの宇宙飛行士を月面に再び送り込む「アルテミス計画」について、ジェフ・ベゾス氏が創業した宇宙開発企業ブルー・オリジンとの訴訟や新型コロナウイルス感染症の流行などの理由により、当初予定していた2024年から延期すると発表した。月面へ初めて、女性および有色人種の宇宙飛行士が降り立つという待望の機会は先延ばしとなる。
同長官は記者会見で、「訴訟で7カ月近くが失われたことで、着陸は早くても25年以降となる可能性が高い」と述べた。
ネルソン長官は、中国が宇宙開発プログラムにおいて、当初の見通しよりもかなり早く、有人の月面着陸を実施する能力をますます向上させていると指摘。当初の見通しについて、特定の時期を明らかにすることはなかったものの、米国が宇宙飛行士を再び送り込む前に、中国は月面への着陸を実施し得ると述べた。
同長官は、「我々は中国による非常に挑戦的かつ優れた宇宙開発事業に直面している」と指摘。「この状況は、彼らが非常に多く物事を成し遂げるのを我々が目にしてきたここ数年で生じたものだ。彼らは月面の南極に行くと言っており、半世紀超を経た後、我々が最初に月面へと戻りたいというのがNASAの立場であり、米国政府の立場でもあると私は信じている。我々は月面への着陸をめぐる競争相手に打ち勝つべく、安全かつ技術的に実現可能な方法で、出来る限り積極的に進んでいく」と話した。
スペースXが開発を受注
ブルー・オリジンによる訴訟は、今年NASAが行った判断に端を発した。
ベゾス氏および米宇宙企業スペースXの創業者であるイーロン・マスク氏の双方が、自社にアルテミス計画の中枢を担わせたいと望んでいたものの、NASAは予算の都合上どちらか一方に限定せざるを得ず、結局マスク氏のスペースXとともに有人着陸船の建造に当たることとなった。
その後この決定をめぐり、ブルー・オリジン側はNASAがスペースXを不公正にも優遇しており、両社に対して月面着陸船の開発資金を供給することがNASAの利益に沿うことになると主張して法廷闘争を展開した。
米連邦請求裁判所は5日、NASAを支持する判断を下し、アルテミス計画を引き続き進行することが可能となった。NASAは訴訟期間中、同計画の有人着陸システム(HLS)開発に関してスペースXといかなる接触を持つことも法的に禁止されていた。
(この記事はCNN.co.jpからの転載です)