ニュース

宇宙飛行士の山崎直子氏は映画「僕が宇宙に⾏った理由」をどう見た?–トークショーレポート

2024.01.18 18:26

facebook X(旧Twitter) line

 ZOZO創業者で実業家の前澤友作氏が宇宙に⾶び⽴つまでの訓練の様⼦や、国際宇宙ステーション(ISS)での12⽇間の滞在、地球への帰還などを約7年間にわたり密着したドキュメンタリー映画「僕が宇宙に⾏った理由」が、2023年12月29日に公開されてから約3週間が経った。

 ⽇本の⺠間⼈として初となるISS渡航の様子を記録した同作を、自身も宇宙へ行った経験をもつ宇宙飛行士はどう見たのか。1月17日に東京都内で開催されたトークショーに、宇宙飛行士の山崎直子氏が登壇。前澤氏とともに宇宙へ飛んだ平野陽三監督との会話を通して、映画への率直な感想を語った。

宇宙飛行士の山崎直子氏(右)と平野陽三監督(左) (C)2023「僕が宇宙に⾏った理由」製作委員会

 ⼭崎氏は同作にも出演しているが、映画について「率直な感想として感動した。映像の持つ⼒強さがあった。すべてが本物。いままでになかった、前澤さんと平野監督がともに⺠間から宇宙を⽬指す物語、そのリアルさ、迫⼒が伝わってきた」と感想を⼝にした。

 「前澤さんと監督の打ち上げを⾒守る時、本当に⼼が震えた。⾃分が⾏く時よりも、仲間の打ち上げを⾒守る時のほうが緊張する。バックアップを務められた⼩⽊曽さんをはじめ、いろんな⽅たちの思いに共感した」(山崎氏)

(C)2023「僕が宇宙に⾏った理由」製作委員会

 ドキュメンタリー映画を作る上で、平野監督は「僕が前澤さんの近くにいさせていただいている分、気持ちが⼊り込み過ぎて、⾝内っぽくなり過ぎないよう、客観的に俯瞰して制作するように⼼がけた」と被写体との距離感に気をつけていたと明かす。これについて⼭崎氏は「逆にそばにいる監督だからこそ、あの⾃然体が撮れたのかなと思うし、警戒もなく、前澤さんのありのままの思いが伝わってきた」と称賛を送った。

 また、映画の中では、前澤氏や平野監督がロシアの「星の街(スターシティ)」で訓練する様子も流れる。自身も1年弱スターシティで訓練をしたという山崎氏は、前澤氏らが受けた訓練について「ソユーズ宇宙船に関しての訓練は(⼭崎氏が受けていたものと)全く⼀緒。(映画に登場する)回転イスの訓練などはNASAではやらないので、むしろ過酷だと思う」とコメント。これに対して平野監督が「あの(回転イスの)訓練はいらないんじゃないかって、みんな⾔っていた(苦笑)」と裏話を明かし、会場は笑いに包まれた。

(C)2023「僕が宇宙に⾏った理由」製作委員会

 平野監督は、宇宙に⾏ったことによる⾃⾝の変化について「本質的に『変わった』と⾔うと嘘になるが、宇宙⾶⾏⼠の⽅々との触れ合いのほか、われわれがすごくお世話になったロシアがウクライナ侵攻を始めてしまったり、いままで平坦に⽣きてきて、考えなかったようなことを深く考えるようになった。それをこういう形で作品としてアウトプットできて、少しは成⻑できたのかなと思う」と語り、トークイベントは幕を閉じた。

映画「僕が宇宙に⾏った理由」

Related Articles