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補給船「Cygnus」によるISSの軌道修正、スラスターが5秒で中断–再試験の予定
2022.06.23 11:59
米航空宇宙局(NASA)は、国際宇宙ステーション(ISS)の軌道修正にNorthrop Grummanの補給船「Cygnus」が利用可能か検証する試験を実施したが、予定していた動作を実行できなかったと発表した。原因を究明し、改めて試験する方向。
ISSは、高度400kmという比較的低い軌道で地球を周回しているため、空気の抵抗を受けやすい。放置していると高度が下がってしまうので、軌道修正する必要がある。また、時にはスペースデブリ(宇宙ゴミ)を避ける目的の軌道修正も実施しなければならない。
これまでの軌道修正では、主にロシアの補給船「Progress」を使用していた。しかし、ロシアのウクライナ侵攻などの影響で、ロシアによる協力が得られにくくなってしまった。そのため、NASAはCygnusを使った軌道修正の可能性を試験していた。
今回の試験は、ISSにドッキングしている「Cygnus-17」を使用。米中部標準時6月20日10時20分より5分1秒間、推進装置(スラスター)を噴射させる計画だったが、5秒で停止してしまった。NASAは、噴射停止の原因は判明しているものの、詳細な検討が必要だとした。
今後、関係者が協議したうえで、早ければ6月25日に再試験を実施したいとしている。
Cygnusは、ISSに物資を届けるための無人補給船。ISSに到着して物資を降ろしたら、廃棄物を積み込んでISSから離れ、大気圏で焼却処分される。今のところ、Cygnus-17は6月28日にISSから切り離す予定。