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NASA、火星ヘリコプター「Ingenuity」の運用期間を延長–飛行性能が向上
2022.03.24 16:02
米航空宇宙局(NASA)は、火星で飛行させているヘリコプター「Ingenuity Mars Helicopter」について、運用期間を9月まで延長すると発表した。
Ingenuity(インジェニュイティ)は、火星の極めて薄い大気中でもドローンが探査に使えることを確認するため、火星探査機「Perseverance(パーシビアランス)」とともに送り込まれた実証実験機。二重反転式ローターで飛行する機体で、特別な観測機器は搭載していない。
2021年2月に火星へ到着し、4月19日に初飛行を成功させた。これまでに合計21回の飛行を実施し、総飛行時間は38分、総飛行距離は4.64kmに達している。
今後は、太古の川によって作られた三角州状の地域をPerseveranceが探査するため、活動支援にIngenuityを活用する計画。ただし、この地域は40m以上の高低差があるなど、これまで運用していた地形と異なり平坦でない。Perseveranceが砂地に捉えられたり、Ingenuityが着陸に失敗して倒れたりするおそれがある。
NASAはこうした状況にも対応できるよう、Ingenuityのソフトウェアをアップデートした。例えば、当初は最大15mに設定されていた飛行高度の制限を解除し、飛行中に対気速度を変えられるようにしている。こうした変更により、ナビゲーションの誤りが減り、飛行と着陸の安定性が高まるという。