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「宇宙ビッグデータ米」、収穫完了–JAXAベンチャー天地人などが栽培
2022.12.12 14:21
JAXAベンチャーである天地人(東京都港区)は12月12日、栽培している「宇宙ビッグデータ米」の収穫が完了したと発表した。国内コメ卸大手の神明(東京都中央区)、農業ITベンチャー笑農和(えのわ、富山県滑川市)の2社と協業して栽培している。
宇宙ビッグデータ米は神明の直営店「米処四代目 益屋」とJAXAグッズや宇宙食・宇宙グッズを販売している「宇宙の店」で12月7日から順次販売を開始した。2合(300g)、1kg、2kg、5kgの4種類が販売されている。
天地人は、JAXA職員と農業IoT分野に知見のある開発者が設立した宇宙ベンチャー。地球観測衛星のデータを活用した土地評価エンジン「天地人コンパス」を活用し、農業に関わるプロジェクトを中心に顧客の課題解決を行っている。
神明は、基幹事業である米穀事業に加え、無菌包装米飯や炊飯米などの加工食品の製造販売、水産品や青果流通への参入、外食事業の展開などのビジネスを展開している。
笑農和は、全国でスマート農業機器を販売するとともに農業コンサルティング提供。稲作での水管理の工程に着目し、スマートフォンで水を管理できるサービス「paditch」を販売している。
3社は「コメが足りなくなる」という危機感を共有していると説明。日本の農業は、生産者の高齢化や減少に伴い、今後の供給力減が懸念されている。温暖化や気候変動の影響からコメの生産量が減少するという予測もある。
そこで、3社は、将来的なコメの生産増につながる農業施策として、宇宙の技術を活用した農業を確立するプロジェクトを立ち上げ、栽培・収穫・販売を開始した。宇宙ビッグデータ米は、3社の強みを生かした先進的なコメ作りで収穫したという。
具体的には、天地人コンパスを活用し、神明の独自品種の栽培最適地を日本全国から探し、山形県鶴岡市での栽培を決定。栽培には、paditchを活用して、夜間の冷たい水を何時間取り入れることが水温に影響を与えるかを意識し、自動で制御しているという。
宇宙ビッグデータ米の栽培と収穫については、2021年に続き、今回が2度目。2022年は、コメの美味しさを表す指数のひとつである食味スコアでトップブランドと遜色ないスコアを獲得していると説明する。
宇宙データビッグ米は、2023年の栽培も予定しており、さらに面積を増やして取り組む。近年の地球温暖化から「高温障害」が多発しており、コメの外観品質の劣化と食味の低下が懸念されていることから、これまで実施してきた栽培方法が有効かを実証していくとしている。