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洪水予測データをリアルタイム被害予測に活用–長野県で検証

2022.01.28 14:17

佐藤信彦

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 宇宙航空研究開発機構(JAXA)は、東京大学とともに運営している河川流量予測システム「Today’s Earth-Japan(TE-J)」のデータを、あいおいニッセイ同和損保のリアルタイム被害予測ウェブサイト「cmap」へ提供し、cmapベースの「長野県庁職員向けcmap」上で洪水リスク情報などとして表示する取り組みを開始した。長野県などは、予測データ活用する流域治水の実現に向け、効果などを検証していく。

 この取り組みは、JAXAと東京大学、名古屋大学、あいおいニッセイ同和損害保険、長野県が実施してきた、治水対策や水害対策に水位データや洪水予測データを活用する共同研究の一環。JAXAは、TE-Jの開発と運用と、衛星観測データの解析、利活用を担当している。

JAXAや長野県などによる共同研究(出典:JAXA)
JAXAや長野県などによる共同研究(出典:JAXA)

 長野県庁職員向けcmapの地図上には、水位計やダム、下水道施設などの施設が表示されている。TE-Jから得た最大30時間以上先までの洪水予測データを表示することで、予測の出された地点と各施設との位置関係がつかみやすくなった。

 さらに、TE-Jの出す洪水リスクレベルに応じ、長野県庁の職員へアラートメールを自動配信する。これにより、洪水のリスク度と合わせ、防災行動の実施に有効な各種データの一元管理が可能になるという。

長野県庁職員向けcmapの表示例(出典:JAXA)
長野県庁職員向けcmapの表示例(出典:JAXA)

 JAXAらは、長野県での利用実証を通じて得た成果にもとづき、日本全国にTE-Jを活用した流域治水パッケージを展開していく予定。

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